海から来た男 ザザー… 私は海に来た 私はなぜこの海を選んだのであろうか 今朝の新聞にこの海岸で起きた自殺記事が載っていたからかも知れない かなり煽情的に描かれた若い男性の入水自殺 私は死ぬためにここに来た… 妻は三日前から娘を連れて実家に帰っていた 夫婦の関係がぎくしゃくしたものになりだしてからの妻の下した結末だった 妻が悪いのではなく一方的に私の責任だった いつごろから女房の身体に魅力を感じなくなっていたのだ 何よ 女に恥をかかせて!! ボン あなたなんか男と結婚すればよかったのよ! ザザー… 男と結婚する気持ちもないし家庭が崩壊した今 私に残された道は死しかなかった ! その時 誰もいないと思っていた海に突然ぽっかりと人影がうかび海岸にゆっくりと歩いてきたのだ! サーフィンをしている青年だった その青年はまっすぐ私の前にやってきたと思うとじっと見つめてきた しかし 何と青白い顔をした青年なのだろう じっと私を見つめる目にはまるで生気がなかった だが この顔にはどこか見覚えがあるのだが… それにしてもなぜこうも私を見つめているのだろう…? その時私の思考を断ち切らせるでき事が起こった…! キュッ 突然その青年がサーフスーツを脱ぎだしたのである パサ… 彼は全裸になった この青年は一体どういうつもりなのだろう 男の私でさえ目の前で堂々と逞しい肉体をさらけ出す若者はショックだった… そしてさらに驚くべきことが起こった カチッ あっ…! ス… ペロッ き 君… 私はあまりのでき事に声も出なかった… ググ… 男が男のモノを口に含むこの異常な状況! しかし この混乱した事態の中で私のペニスは青年の巧みな舌技で不覚にも高まっていった ス… はあっ… ズシャッ ペロッ ニュプッ 彼は肛門にさかんに唾液をぬりたくった そえた手から見えかくれするペニスは完全に勃起して透明な液をさかんにあふれ 出させていた ククン… それから彼はこともなげにこう言った… 入れてください ヒクッ はあっ 私はどうしてしまったのだろうか…? 青年のみだらな姿に異常な興奮を感じ 彼の肛門を前にして真にひとつになりたいと思えてきたのだ あまつさえ 青年の光る汗 高まりきったペニス 私を求めてうちふるえる肛門、すべてがいとおしく思え、感きわまった私は一気につき入れたのだ! ズリュッ うっ! ああっ!! 私は心のわだかまりも捨て激しい抽送に邁進していた ズ… 男とのセックス── この初めての体験は私の中にあった何かを目覚めさせたようだ はあっ はあっ ズプッ ズププ… ああっ…! 私は確信した── これが私の求めていた世界であることを…! おおおお… も もう… 彼の果てる時が近い── はあっ 私は手をそえ強くしごいてやった ごつごつとしたペニスの腹を精液が奔流するのがわかった うおおーっ!! ドピュッ 雄叫びとともに発射された精液はすさまじい勢いで私の顔面を打った それと同時に私の 高まりきった男根も彼の律動する肛門の中で妻との交渉では得られぬ快感をともなって、激しく果てたのであった。 ザザー… 波の音で目が覚めた どうやらあまりの快感に意識を失っていたものらしい 一瞬私は目をあけるのを躊躇した… 私は現実を見るのが恐かったのだ… もしも彼が………… ザザー… 目が覚めた? あ…… じーっ い いやだなじっと見て…… 顔になにかついてます? ザーメンとか… い いや実はその… 君があんまり生気のない顔をしていたものだからずっと幽霊じゃないかと… え〜〜っ? そりゃないですよ 二人は急速にうちとけた仲になっていった まだ名前も名のってなかったね 私は平山というんだ 小津といいます 小津…? はてどこかで… ええ 今朝の新聞の3面に出てると思います顔写真入りで 俺…とりみだしたもんだから でかでかと載っちまって… あっ じゃあ この海で自殺した男性の… やつは俺の恋人でした… それでわかった 顔に見覚えがあったのは自殺記事の中に彼の姿があったからなのだ やつとは大学時代から一緒に暮らした仲だったんです あいつ…いつごろからか自分の生き方に疑問を持ちはじめ 俺のことは忘れないという遺書を残して… 俺 やつだけが生きる喜びでしたからやつのあとを追うつもりでこの海に来たんです でも あなたに会ってこの人となら人生をやり直せるんじゃないか… そんな気がしてあなたに賭けてみたんです 私も君と同じ目的でここに来たんだよ だが君と出会って私の生きる道がはっきりした 私のほうこそ君と一緒の人生を歩かせてくれないか? ぐっ! 先輩…! こうして私は苦悩の中 幸運にも生涯の伴侶を得た パサッ 世間の評価がどうであれ 二人が幸せならばいいではないか? 完