男の約束 僕 松田高志─ ただいまーっ!! 札幌の郊外で酪農を営む一家のひとり息子だ 遼兄ちゃんいるーっ!? 遼兄ちゃんというのは辻沢遼介という父が雇った24歳の青年で一か月前から我が家の一員として暮らしている 変だなあ 父さんたちは町に出かけてるけど遼兄ちゃんはいるはずなんだけど… 小学生の僕を子ども扱いしないで接してくれる彼をすっかり気に入った僕は彼にべったりだったのだ 遼兄ちゃん? ヒョイ あっ! チュバッ あ…あん! はあっ 遼兄ちゃんはいた… ああ…早くちょうだい あの凄いの…を まあ待ってなって… しかし彼は見知らぬ女と納屋のほし草の上で裸で抱き合っていたのだ…! ガタッ きゃーっ 何よあの子!! 高志… やだーっ 誰もいないって言ったじゃないの!! しょうがないだろ 学校が終われば子どもは帰ってくるさ 遼さん しらけちゃった また来るわ ふん!やなガキ!! ドン あ… 女はさんざん悪態をつくと凄い勢いで帰って行った 変なところを見られちまったな この時僕はさっきの女に少なからぬ嫉妬を覚えていた 誰なの?今の人… ああ きのう町で買った女さ 一夜明けたら俺が忘れられなくて今度はあちらからご訪問ってわけさ まっ無理もないがね その時僕は彼のズボンの股間がすごく盛り上がっているのに気づいた ど どうしたの? ズボンがふくらんでる… この時8歳の小学生の僕には男の性器が勃起するなど思ってもみなかったのである ハハハ…これかい? 興奮したもんでチンチンがでかくなったのさ 高志ももう少し大きくなればわかるよ ふう…ん ふっ… どうだ見てみたいか? うん!見たい!! ハハハ見て驚くなよ 僕はワクワクして彼がズボンを脱ぐのを見まもっていた カチャ カチャッ どうだ? あ… 初めて目にする大人の成熟した男根─ それも激しくそそり立つ勃起体の偉容に僕は言葉もなかった… さらに…驚いたのはそれだけではなかった 太い血管の浮き出たその褐色の男根にはおびただしい数の緑色の玉がうめ込まれていたのだ! な 何なのこれ? 緑色のつぶつぶのもの… これかい? ム所の置きみやげさ 歯ブラシの柄を丸く削ってこいつにうめ込むんだ ム所仲間に真珠をうめ込んでいた奴がいてね  そいつに堀られちまったときこいつの良さを知ってね ム所って何だろ… で、でも何でこんなことするの? 痛くないの? そりゃあ痛いさ でもこうするとなたいていの女は泣いて喜ぶんだ ふう…ん どうだ高志 こいつを思いきりしごいてくれないか? え…? そうするとすごく気持ちいいなれるんだよ ピクッ ピクン 目の前でびくつく生き物のような男根 子どもごころに喜んで握れる代物ではなかった… しかしさっきの女に負けたくない一心で僕の腕よりも太いその巨大なものを夢中でしごき出した… シャッ シャッ く… ねえ変な水が先っぽからから出てきた… オシッコみたいだけどベタベタしてる… フ…それはね俺が気持ちよくて興奮してる証拠さ はあっ… ふう…ん実際、僕には苦しそうに見えるだけでちっとも気持ちがいいとは思えなかったが… ああっ… それよりもこの時とばかり 僕は 日ごろからあこがれていた遼兄ちゃんの逞しい肉体をすみずみまで観察した 張りつめた筋肉 こわいぐらい密生した陰毛 ダイナミックな性器など 日ごろ接する彼とはまるで違う雄の魅力を僕は感動して 見つめていた… 僕の心にも少しずつ変化が現れてきた… 最初はあれほど嫌悪を感じていたイボのような男根さえもはやグロテスクなもので はなくなっていたのだ 僕の手によって快感にあえぐ彼がたまらなくいとおしかった そして射精の知識も何もないまま彼の絶頂時には 何かが起こるのを感じていた… しかしその時だった… よそう… ど どうして!? 僕じゃだめなの!?やっぱりさっきみたいに女の人でなくちゃ… そうじゃない… あんな女よりお前さんにやってもらう方がはるかにうれしいさ だったらなぜ!? 僕、遼兄ちゃんに喜んでもらいたいのに!! このままやってたらお前を抱きたくなっちまうからさ… しまいにゃケツまで犯してしまいそうだ 僕、抱いてもらいたいんだ! お尻でも何でも遼兄ちゃんの言うとおりにするから…! ハ 知りもしないで… 今そんなことをしたら親父さんに顔向けできないよ だったらいつ? いつなら抱いてくれるの!? そうだな… あと10年か… バッ 本当だねっ!? あと10年したら抱いてくれるんだね!? ああ お前が大人になっても今の気持ちが変わらなければな… その時には抱いてやるよ 約束だよ 遼兄ちゃん 僕、遼兄ちゃんが大好きなんだっ!! なぜか涙が出てしかたがなかった おそらくこの時からだったろう… 僕にとって遼兄ちゃんがかけがえのない存在になったのは… ブウウー 早いものであれから10年がたつ 僕は中学の時から家をはなれそれ以来、遼さんとも会ってはいなかった そして今大学に入った僕は初めての休みに帰郷したのだ 今でも遼さんは我家で働いている 大人になった今彼のことも少しは知るようになった 傷害罪で服役していたことなど… しかしそんな事より僕は早く遼さんに会いたかった 彼はあの時の約束を覚えているだろうか… 僕の気持ちはあの時と変わっていない  あなたのあのすごいやつで今度こそアヌスを犯してもらいたいんだ…!! ザッ ザッ そこには─ 10年前とちっとも変わっていない 遼兄ちゃんの逞しい姿があった…