刑事を犯れ 思えば この会社帰りの雨──が事の始まりだった 雨やどりのつもりで思わず入った映画館 外国もののハードコアだった(悪くない) ふー ひどいめにあった ヘイ!カモンカモン! ほーー すごいボイン オー しかしおれにとって女の胸など興味のないものだった あるのはポルノ映画にとっちゃワキ役でしかない男のはだか…… そう おれは30もまじかのホモだった 今だってシーンのあいまに館内のいい男をさがしてしまうのだ ス… よっと! ヘエ トリプルかぁ 何のつもりなのだろう この青年は…… こんなにすいているのにおれの隣にすわるとは… 短髪に浅黒い肌 何もかもおれ好みの青年だった そういえばこの映画館はホモのたまり場で有名だった 彼もホモなのだろうか おれが男をあさるような目で見まわしていたからよってきたのだろうか わわっ あのケツうまそう たっちゃうよ ヒュ〜 彼はホモに違いなかった なぜならあのケツうまそうと言った時のスクリーンには たくましい男の尻が写し出されていたのだから…… あーあ とうとうたっちゃった 彼はこれみよがしに股間をまさぐり出した それは短く切ったジーパンの上からでもはっきりと見てとれた おれはどうしようもない衝動にかられた ああ あそこが見たい 見てみたい…! あなた おれの息子を見たいんでしょ? 一目見た時から気に入ったんです あなたもおれが好きなんでしょ? は はあ… どうぞ ひっぱり出して下さい おれはもう限界にきていた はあっ そしてふるえる手でいっきにチャックを引きおろした チャー すごい…! 舐めて下さい 俺は青年のその熱いものを人目もはばからず愛撫した グ… 事件はその時起きた! にやり… よーし そこまでだ いいかげんにしな このホモ野郎 グイ な 何を… フフン 聞いて驚くなよ おれはな てめえらみたいなホモ野郎を取り締まるのに張っている刑事なんだよ ホモの変装をして張っていたらまんまとはまりやがって さあ観客のじゃまだ 表へ出な 何かしら? 痴漢だろ おれたちはな てめえらみたいなへんなのがいるから こうして休みなしで働いているんだ それも体をはってな! ど どこへ? 署に決まってるだろ 現行犯なんだからな ところであんた名前は? 砂 村 俊 介です 俊介さん…か あんた刑事のおれをフェラチオするのは度胸あるぜ フフ… 自分のほうから誘っておいて── と言ってやりたかった しかし結果としてこの刑事をいたずらしたのは おれだという事実は否定できないのだ それからもやつはおれをうす汚いホモとののしり続けた まるでサディスティックにホモが変態だと言わんばかりにののしるのだ そうなのだ── この男はホモをなぶることによって 自分が正常だという優越感を味わっているのだ ところであんた サラリーマンだろ? このことが会社にバレたらどうなるだろうな ホモのサラリーマン刑事をおそう やめろ…! そうなりゃあんたは世の中から永久に…… いいかげんにしてくれ! ボガッ いてェーー 何すんだよ 刑事に向って こ このやろ〜 バギッ いてェェ〜 ちくしょー 弱い… こいつはずう体ばかりでかくて なぐり返すこともできない男なのだ そう思ったとたんにおれはさきほどの欲望が頭をもたげてきた こっちに来い! ドン な 何をしようっていうんだ… フッ わかってるくせに 警察官を犯すという興奮が─ おれに理性を失わせていた カチャ カチャ はあっ はあっ バサッ ザーー… ま さ か… そんな大きなのを… たいじょうぶ うまく入れてやるよ お おれが悪かった だから許してくれよォ… うしろを向けよ ちくしょォォ スッ 力を抜くんだ でないとけがをするぞ かんべんしてくれよォォ グイッ うわあああ おああ!! どうだ… いい気持ち…だろう? はあっ… くうう〜 あ ああっ! 締めてくる 目もくらむような快感が全身を貫いた お…おお… しかしその一方でおれの頭のかたすみでは さめた考えがよぎってもいた この若い刑事はホモのおれをいためつけることにより優越感をみたそうとした いわゆる刑事という優位な立場を利用して弱い者いじめをしたのだ とすると 今のおれのしている行為もこいつと同じ弱い者いじめではないのか 刑事という畏敬の人物がけんかもできない弱い人間と知り そいつを犯すことで優越感をみたしているのではないのか たぶんそうだろう だがそんな考えもしびれるような快感がしだいにうすれさせていった ああ… で でる…う 今はただこのすばらしいエクスタシーにひたりきるのみだ 完