兄貴が好きなんだ! 冗談じゃないぜまったく! 今度も僕はのけものってわけかよ 久しぶりにわが家に帰ってみれば兄キが突然結婚していやがる 弟が結婚式にも呼ばれないってのはどういうことだよ!  いくら俺ができそこないだからってあんまりだろっ!? そうひがまないでよ あんたったらバイトしながらの放浪生活なんだもの 連絡のしようがなかったのよ 一週間前なら新宿にいただろ! まあそう怒るな お前を式に呼ばなかったのは俺が悪いんだから へん まだ兄キは優等生気どりか いつだってそうなんだよな あんたに春彦をせめる権利がどこにあるというの!? 高校に入るなりとたんにぐれて手もつけられなくなって! うまく卒業までもってくれたらと思ったら大学にも行かないでアルバイト暮らし!  あんたみたいなできそこないを産んだかと思うとなさけなくて涙が出るわ! 母さん そうガミガミ言わんでも… 薫にはこうでも言わなきゃわからないんですよ! 一流大学出で外務省務めの春彦にかなうわけがないと思ってひねくれてるのよあんたは! ガターッ! うるせーな ガミガミガミガミ! わかったよ 出てってやるよ! こんな家に帰ってきたのがまちがってたんだ!! 待って薫さん…! 私たちのためにけんかしないで… 式のことは私が謝ります…  あなたの結婚の時にはまっ先に祝福れせてもらうわ あんたには関係ないだろ!? ピッ 薫!! ぶい 連れてェ〜〜 逃いげてよォ〜〜っと ちきしょーめ あしたになったら何も言わずに出てってやる! 薫 入るぞ キッ ぎょっ! ええ〜〜っ!? たまには兄弟ではいるのもいいだろ? ジャーッ アチー! 母さんを恨むなよ 中学までは優秀だったお前が急にぐれたんでそれがくやしいんだよ お前を式に呼ばなかったのはな 俺が決めたんだ お前が俺の結婚を知った時の反応がこわかったんでな は はは… そうだよな 俺はずっと兄キとは仲が悪かったし… 兄キの結婚式なんてきっとメチャメチャにしちまってたかもな… まったくできのいい兄キをもった弟はいい災難だよ 成績は優秀スポーツは万能 近所の人の評判はいい いつも比較されてさ  これじゃあひがみ根性がでてもおかしくないだろ? いつも自分は正しいって顔してさ 俺なんかゴミぐらいにしか思ってないんだろ? そういうところが嫌いなんだよ 兄キなんて… スッ シャッ シャー ザーッ フーッ 出ろよ 背中流してやるから け けっこうだよ 誰があんたなんかに… あなた着替えここにおいておきますから ああ へへへ 流す相手が違うんじゃないの? 呼んでやったら? 一緒にはいりたくてうずうずしてるかもよ あの人… 俺にあたるのはいいが ひとみを侮辱するのはやめろ お前の義姉さんなんだぞ もう少し素直になれよ へん…兄キとはちがうからね!! チキショー! サバーッ 何だってこうなんだよ!! はあっ 兄キ… ザー… チラッ 主人の悩みも知らないで元気だなァ さっき出したばかりじゃないかよ… ジー… コン コン! 薫 起きてるか? ガバッ は はひっ! 久しぶりに酒でも飲もうと思ってね どうだバイトはうまくいってるか? あ… ああ… カラ カラン… ほい! ゴクッ 昔はよくこうして二人で飲んだっけな お前は強かったが俺はからっきしですぐ酔っちまったっけ そうだ お前… 俺が酔いつぶれてお前のベッドに寝ちまった時のことをおぼえているか? 兄キ…? あれはお前が中2で俺が高3の時だったよな  親父の目をぬすんでお前の部屋で酒を飲んでいるうちに俺が酔いつぶれてねむっちまったんだ 兄ちゃん 起きてよ! う…うん… 本当いうとお前は気づいてなかったみたいだが俺は起きてたんだよ  最初は夢うつつだったんだが 下腹部が妙にうずいてきて目がさめたんだ 驚いたよ わんぱく坊主のお前がな… 兄ちゃん好きだよ… お 俺ずっと兄ちゃんが好きだったんだ… シャッ シャッ やめてくれっ!? ひ ひどいよそんな昔のことほじくりかえさなくてもいいじゃないか… さっきのしかえしかよ… サッ 顔を上げろ 兄キ… お前も脱げ そして今日だけは男どうしで抱き合おうぜ お前の気持ちを知った時はつらかったよ…  そしてそれ以来どんどんぐれていくお前を見るのも苦痛だった… 俺へのむくわれない想いにやけっぱちになってぐれた気持ちはよくわかる  だから今日だけはそういったものを思いきり俺にぶつけて俺への想いを断ち切ってくれ! もっとも弟のお前を相手にこいつが役にたつか心配だけどね モミ モミ… フッ そんな昔の話… 今でも同じ気持ちだとでも思ってるのかよ…  あいにくだが兄キとなんてセックスしなくても男に不自由はしてないからね!! 何で服を着るんだよ… 何で服を着ちまうんだよォ… 兄キ…! 好きなんだよォ ずっと兄キが好きだったんだ! だけどどう考えたって許されるはずがないからわざと… わかってるよ だからこそ俺もつらかったんだ… お前の気持ちに応えてやれなくて… だが今夜だけは思いきり抱いてやる… お前が俺へのしがらみからぬけ出せるように… 俺 初めてだから痛かったんじゃないか? ううん 全然… お前── 付き合ってる奴いるのか?お前はまた怒るかもしれないが兄キとしてひとこといわせてくれないか?  今は男が好きなのならとことん男と付き合ってみるのもいいさ だが遊ぶだけ遊んだら… いい女を見つけて  女の良さというのも知らなくちゃ…な ああ… 義姉さんみたいな…ね 何だい義姉さん 朝のしたくはみんな義姉さんがやってるのかい? 遠慮しないで母さんにも手伝ってもらいなよ えっ ええ… ジュー ほら母さん! 家事をお嫁さんにあけわたすのは10年早いよ 手伝った 手伝った! えっ ええ… なあにあの子 急にいい子になって… フム… ははは… ウフ… お前なァ いくら女を見つけろって言っても俺の女房にモーションかけなくてもいいだろ? あんな素敵な人なら不倫の恋をしてもいいと思ってるんだ この! わあっ 義姉さん助けて! あなた? END